知床の沈船引き上げ、飽和潜水
今日のニュースによると、知床で遭難した観光船KAZU1が引き上げられるようだ。船体を壊さず引き上げるにはダイバーが沈船まで潜って作業する必要がある。ダイバーの潜水方法は、一般的なスクーバダイビングで作業できるのはせいぜい水深30メートルまでなので、今回のように水深120メートルでは飽和潜水という方法が用いられる。飽和潜水とは、例えば水深120メートルで身体に溶け込む不活性ガス(窒素、ヘリウムなど)の最大限度(飽和状態)の量が知られているため、母船上で身体を不活性ガスの飽和状態にし、その状態を維持したままベル(作業する水深まで潜水士を運ぶカプセルのこと)を使って潜水士を水深120メートルに潜らせ、作業後、またベルを使って浮上させる方法である。
実際の動きは
①潜水士が母船上で減圧室と称されるチャンバーに入り、潜水作業する水深の圧力に身体をならす。今回水深が120メートルなので、13気圧程度と思われる。加圧する気体は酸素とヘリウムの混合ガスである。窒素は身体によくないのでヘリウムが使われる。所要時間は1乃至数日。減圧室内には生活道具が備えられている。
②身体が慣れたら減圧室に連結されたベルに乗り移りベルはチャンバーから切り離され母船上から作業する水深まで降ろされる。
③目的の水深に着いたら潜水士はベルの外に出て作業する。
④作業が終了したらベルに戻る。
⑤ベルは母船に引き上げられ、減圧室に連結される。
⑥潜水士は減圧室に移動し、その後数日間かけて減圧し潜水士を地上の気圧の生活に慣らす。
飽和潜水作業ができるのは海自のほか民間業者もある。今回は民間の業者に依頼するようだ。遺体の収容と事故の原因を解明するためには船体の引き上げが必要で、政府がお金を出すのかもしれない。