cho-kai-san811のブログ

連れ合いを失った老人のたわごとです。心機一転何らかの生きがいを見つけて前向きに生きたいと思っています。

潜水艦そうりゅうの衝突事故

隠密行動する潜水艦と水上を航行する船舶との衝突は、センセーショナルに報道されがちです。
潜水艦が浮上するときは、潜望鏡を水上に出して他船の有無を確認するまでは、聴音機(ソナー)だけが頼りなのだそうです。このソナーというのが水面近くでは聞こえない場合があるそうで、潜水艦の艦長は浮上するたびに水上に船がいないことを祈っているそうです。太平洋のような広い海原で船同士が衝突するなんて宝くじに当たるようなものに見えますが、船舶が頻繁に通る航路付近では、航行する船舶の時間当たりの艘数が多いので、異常接近や衝突も起こりうるのでしょう。航路付近以外では衝突の確率は低いのかもしれませんが、確率がゼロではない。双方に死者が出なかったのは幸いでした。むかし潜水艦艦長だった方にメールをいただいたので、ここに添付します。


「そうりゅう」の衝突事故について一言
 元潜水艦乗りとしては誠に残念、痛恨の極みで あってはならない事故です。
写真を見る限り かなりやられています おそらく全没状態から潜望鏡深度への深度変換中であったと想像しています。
潜望鏡深度につく際は、慎重の上にも慎重に、ソナーにより全周をくまなく捜索して安全を確認したうえで深度変換をするのが潜水艦乗りの基本中の基本であり、いくら数を重ねても一抹の不安を持ちながら 最悪の場合の処置を念頭に置きながら 潜望鏡を覗きながら露頂(潜望鏡深度につくこと)していたのを いまだに思い出します。
これから事故の詳細ついて調査がなされるでしょうが 一般の方には想像もできない事象をお知らせしておきます。
露頂する際は安全潜航深度で全周精密捜索を行い(特に艦尾方向の音源確認のため進路を変更して艦尾方向を確認)音の種類・音の強さ・移動方向等により安全を確認後 深度変換を行うのが通常です。
 ところが 音というものは厄介なもので 近いからといって必ず聴こえるとは限らないということです 小生の経験では4乃至5マイルで潜望鏡で視認中のタンカーの音がソナーには全く聞こえなかったことがありました。ヘッドホンをつけてみても 確かに音は聴こえませんでした。(ソナーは正常に作動中)
(ハワイ沖での米潜と「えひめ丸」衝突の痛ましい事故も、これに類するものではなかったかと一人想像していました)
犠牲者が出なかったのは不幸中の幸い。原因を究明し 再発防止を願うばかり。
                      オールド・サブマリナー