cho-kai-san811のブログ

連れ合いを失った老人のたわごとです。心機一転何らかの生きがいを見つけて前向きに生きたいと思っています。

中国は、国鳥を選べるのか?

国鳥とはその国を代表するものとして定められた鳥です。日本の国鳥は「キジ」で、昭和22年の鳥類学会で選定されました(広辞苑第六版)。アメリカは、ハクトウワシ、英国は、ロビンです。

中国も2004年に国鳥を選定しようとする機運が高まりネット上で人気投票を行ったところ、1位がタンチョウ、2位にトキが選ばれました。しかしタンチョウの学名はGrus japonensisで、意味は「日本の鶴」。二位のトキの学名がNipponia nipponでいずれも日本の名前が入っています。この理由から中国国内で議論が起き、未だ選定に至っていないようです。なぜ中国にも古くから存在する鳥に日本の名前が入ったかというと、日本が先に国際的に登録した鳥だからです。先に登録した国に命名権があります。当時、中国はこの国際条約に加盟していなかったようです。中国は日本名が入った学名を変更できないか画策したようですが、国際条約ですので変更できなかったようです。私は中国が国鳥としてタンチョウ或はトキを選ぶことが日中友好に多いに役立つと思います。つまらない面子に左右されない国として認めてあげましょう。


2008年に、この議論について中国青年報に以下の記事が掲載されました。当時は良識のある記事も多かったのです。


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<自国の文化に対する自信が試される>
中国青年報:“日本鶴”は、国鳥に相応しいか?
張遇哲
20080905 0952 ソース:中国青年報


9月3日、中国野生動物保護協会は、“丹頂鶴を中国の国鳥に指定するため、国務院に対し審査を請求した”と述べた。 国家林業局は、昨年国務院に関連資料を報告した。 しかし丹頂鶴はラテン語で“日本鶴” (学名:GRUS JAPONENSIS) と称され、批判があるため、未だ承認されていない。(新京報9月4日)


鳥類は、人類の友であり、国鳥は、国家と民族のシンボルとみなされる。 国鳥の指定は、米国が始祖であり、すでに200年以上の歴史がある。 その間、40カ国以上が国鳥を指定している。 中国においては、丹頂鶴を国鳥に指定したいとする意見がずっと以前からあった。 2004年から2005年にかけて、中国野生動物保護協会は、全国の20個以上のニュースサイトと協力し国鳥推薦運動を行った。 その結果、丹頂鶴は500万人のネットユーザーのうち64.92 %の票を集めた。 その他の9種の鳥類は遥かに及ばなかった。 ある専門家は、「丹頂鶴のラテン語名称は、“日本鶴”であり、国鳥に相応しくない」と疑問を呈した。 “日本鶴”の言葉の起源は18世紀であるが、当時清国政府は鎖国政策を採っていたので、丹頂鶴の標本は日本人が提供した。 したがって国際社会の生物分類の規定に従い、実物の出身地の名称を根拠にし“日本鶴”となったのである。


国鳥の指定は重要であり、慎重を期さねばならない。 完全無欠さを求める立場から見れば、丹頂鶴は多少難点があろう。 この問題で反対意見、躊躇があることは理解できる。 しかし問題点を“日本鶴”という外来名称に集中させるべきでなく、国鳥指定の本義に立ち返るべきである。 すなわち我々はなぜ国鳥を指定するのか、指定するための最も重要な基準は何か?と。


世界を眺めてみると、国鳥に指定された鳥は、一般にその国民が愛する鳥であり、珍しく、稀に見られる特産の鳥類か或いは重要な価値と意義を持つ鳥である。 化石から見ると、丹頂鶴の起源は中国大陸である。 この鳥は、悠久の歴史の中で、姿が優れ、気高く、中国人に深く愛されてきた。 “仙鶴”の名称を持ち吉祥、長寿のシンボルであった。 このほか、丹頂鶴は国際的にも“湿地の神”とされ、わが国の環境保護事業、湿地保護政策に合致している。


これらのことから、丹頂鶴を国鳥に指定することは、名実ともに条件が備わっている。 “日本鶴”の訳名が中途半端であるため、国鳥指定の問題は、単純な学術問題だけに留まらず、中国人に対し自国文化に対する自信の有無を試す機会を与えてしまった。 しかし理性ある成熟した民族は、自己の守るべき価値を学び、他人の言動に左右されてはならない。 ややもすれば瑣末な問題に敏感になることは、自国の文化に自信が持てないことの証左である。 専門家の定説によると、“日本鶴”の訳名は単なる名称に過ぎず、国家が関わる概念ではない。 日本人も“日本鶴”とは呼ばず、“tancho”と呼称し、丹頂鶴と書く。 したがって我々が“日本鶴”に感情的にこだわることになれば、自国の歴史と文化に疑いを持つことを意味し、世界の笑いものになるだろう。


文化が国際的に流通する時代に、情報が円滑に流れなければ、様々な誤解が生まれる。 これは当たり前のことである。 数年前、中国のシンボルである「龍」が、英語の“Dragon”に翻訳されたため、中国は、西側国家から覇気と攻撃性に満ちた巨人と見られた。 しかし我々は、このような理由で千年長寿のシンボル丹頂鶴を放棄することができるだろうか?
編集責任者:李燦燦
以上


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タンチョウツル

トキ