10分間の宇宙旅行
アマゾンの創業者ジェフ・ベゾス氏が創立した宇宙企業ブルーオリジン社は、20日米国テキサス州で同社初の宇宙船ニューシェパード号を打ち上げ、約10分後、地上への帰還に成功しました。テレビ映像にもありましたが打ち上げロケット本体(液体燃料ロケット)も所定の位置に無事回収され再利用される予定です。これは今のところ観光用ロケットであり搭乗希望者は抽選で搭乗できるようです。ただし搭乗券の額は今回25万ドル(約31億円)とも言われています。
今回の「打ち上げ」は、宇宙服を着ない4人が入った円形の小部屋のようなカプセルを打ち上げ、3分後に運搬用ロケットを切り離し、その後カプセルは放物線を描いて最高高度100km以上に到達した後、地上に自由落下、パラシュートで軟着陸(時速25kmという)させたもののようです。NASAの宇宙船とは全く異なり、飛行時間が短いので搭乗者の複雑なサバイバル装置が不要で船体の重量を軽くできます。また地球の引力圏から完全脱出する必要がないので打ち上げロケットが小さくできます。カプセルにはパイロットが乗っていませんので搭乗者が操縦しているわけではありません。映像で見る限りこの程度の大きさのロケットでは回収を考えれば、打ち上げ高度は限度いっぱいなのでしょう。相当掛け金の高い生命保険が掛けられていたでしょうね。
今回のような宇宙観光飛行ビジネスを成立させるため打ち上げロケットの完全回収は必須です。
今後宇宙観光ビジネスとして成立するためには、高額の料金が払ってもわずかな宇宙飛行に興味がある大金持ちが存在することが必要です。ずっと先には月への観光旅行も視野に入れていることでしょう。
むかし戦闘機(F104J)のズームアップ飛行で25km程度の成層圏に到達したことがありました。真空に近いので飛行機の舵は効かず放物線を描いて落下するだけでした。そのときは与圧服(部分的に宇宙服に似た服)を着ていました。