cho-kai-san811のブログ

連れ合いを失った老人のたわごとです。心機一転何らかの生きがいを見つけて前向きに生きたいと思っています。

高齢者の航空事故、低体温症

30日に国交省から昨年4月に発生したFA-200型機の航空事故調査報告書が公表された。
昨年4月18日九州阿蘇山の場外離着陸場を離陸した4人乗り軽飛行機FA-200(富士重工製)が燃料切れで有明海に不時着した。搭乗者は機長が80歳、同乗者82歳及び67歳の3名であった。阿蘇の場外離着陸場は標高が837mと高いので離陸重量に制限があり、燃料はタンクに4分の1しか搭載していなかった。(制限限度は2分の1)タンクに4分の1の燃料では2時間程度しか飛行できない。天候は「晴れ」で「視界良好」問題はなかった。機長は高齢だが定期運送用操縦士技能の認定を有するベテランだった。ところが有明海海上で燃料が切れ、海上に不時着水した。不時着水はうまくゆき、3名とも怪我無く機外に脱出したがまもなく機体は水没し、3名は海上で漂流することになった。事故後機長は携帯電話で知人に3名とも無事であることを連絡している。事故機は不時着する直前に緊急状態を示すトランスポンダーmodeⅢcode7700を発信していたのでパイロットからの緊急状態宣言はなかったが近くの自衛隊のレーダーがキャッチしていて巡視艇が出動し遭難者を発見した。不時着水から救助まで2時間半ほどだった。この2時間半の間に80歳台の2名は溺死し、60歳台の人は生き残った。救命胴衣はつけていたが低水温のため低体温症で意識を失い溺死した。自衛隊戦闘機の場合、訓練は海上で行われることが多いので、冬季は海上に脱出した場合に備えて必ず耐寒耐水服を着用する。この時期まだ海水温は低く、海上への不時着水は危険だった。また燃料が少ない状態で離陸したので、この事故の場合は、燃料の搭載量に合わせて距離的に近い空域での飛行計画を作成すべきであった。不時着するにしても、FA-200は小型軽飛行機であり低翼なので陸上に不時着しても生還率は高いはずだった。事故調査報告書は主たる原因を、着陸場を見失った意味のロストポジションとし、その理由を航空図を持たずに飛行したから、としている。慣熟した地域ならば天候も良いのだからいちいち地図を見なくとも位置はわかるはずだ。どんなに飛行経験が豊富でも基本を外したら事故に直結することを肝に銘じなければならない。


写真はお借りしました。
富士重工FA-200