cho-kai-san811のブログ

連れ合いを失った老人のたわごとです。心機一転何らかの生きがいを見つけて前向きに生きたいと思っています。

芥川賞受賞作「首里の馬」読後感

たまたま中央図書館で文芸春秋9月号を見ていたら、第163回芥川賞受賞作が掲載されていたので目を通してみた。最近は小説はおろか長い文章を読む気力さえ徐々に失せてきている。ところがこの小説「首里の馬」は、冒頭から昔住んでいた沖縄県浦添市の港川や牧港の風景が描写されていたのでついつい引き込まれてしまった。主人公の若い女性はボランティアで沖縄の民俗資料館の資料整理を手伝っている設定からも、私の興味を引き付けた。私も沖縄の歴史民俗に元々興味があった。この小説は、主人公の収入源としてのバイト(ネットでクイズ問題を出題し回答者から回答を求める)の内容、回答者との内容の濃いやり取り、および沖縄の社会環境をファンタスティックに描写し、さらに沖縄の過酷な歴史をも聞き語りとして挿入している。全体としての印象は、ファンタスティックな小説であるが、最後まで読者を飽きさせない魅力もある。沖縄の地元新聞「琉球新報」に書評が出ていたが、沖縄の過酷な歴史を描いてくれた、などと若干ピント外れの評価をしていた。しっかり読まずに書評を書いたのであろう。

      沖縄県浦添市浦添グスク・ようどれ館(歴史資料館)2011年

             沖縄学の父、伊波普猷の墓、2011年