福岡空港で10月30日と11月1日、民航便が鳥と衝突し運行が乱れた事例が起きた。空港管理会社の話しではこの時期渡り鳥が多く飛来すると言う。空港には広大な草っ原があり、一般的に湿地帯もあることから野鳥にとっては餌(小鳥、昆虫、鼠、蛇)も豊富で格好の休憩場所になっている。野鳥のほかにウサギもいたりするので、北陸の某空港では年に一回基地の隊員が総出でウサギ狩りをやっていた。野犬もいた。今では熊も?
空港には野鳥の駆除用に猟銃も備え付けてあり、免許を持った隊員が駆り出されることもあるが、猟銃に驚いて逃げはするが、また舞い戻ってくる。根本的な解決策はない。何が問題かというと、エンジンに鳥を吸い込んでエンジントラブルになることが怖いのだ。ハドソン川の事故のように鳥を吸い込んで航空機が墜落することもある。私の経験だが、戦闘機で離陸直後、ギア(脚)をあげる途中で大きなトンビがコクピットの真正面にぶつかりすごい衝撃と同時にキャノピーの上面が鳥の血液で真っ赤になった。離陸直後は燃料満タンのうえ低速なので鳥が見えていても回避することは困難だ。機種はF-86Fだった。鳥が衝突した個所がもう少し下方だとまともにエンジンに吸い込まれていた。昭和40年代初期、場所は北九州の某基地だった。
渡り鳥の飛行高度は現代の航空機よりもはるかに低い高度なので航空機が高い高度に上がってしまえば問題ないのだが飛行場周辺の低高度での飛行の際に大きな問題になるのだ。現代の航空機エンジンは鳥の吸い込みに対しても被害が最小限になるように造られてはいるが緊急事態になることは避けられない。鳥の吸い込みが、タービンブレードなどのエンジン部品の破壊を引き起こし、それが引き金となって大きな破壊につながるのが怖い。